疾風に勁草を知る

古い中国の書物に「疾風に勁草を知る」という言葉があります。激しい風が吹いて、はじめて強い草が見分けられるという意味です。風のないときには、どの草もぴんと立っていて、どれが強い草かわかりません。しかし、ひとたび厳しい疾風にさらされると倒れそうになってなかなか倒れないものと、あえなく倒れてしまうものとの差が歴然とします。強い草は強い風にさらされて、初めてその強さがわかるとのことでございます。日本では「麦は踏めば踏むほど強くなる」ということばがあります。また台風一過の田を見れば一目でわかります。このことを人間社会に置き換えて、困難を乗り越えた人間は成長することを伝えたかったのでしよう。戦後の荒廃した社会で生まれ育った人たちはこの言葉を金科玉条にして励んできました。疾風とは生活苦でした。貧乏とたたかい、生活苦に耐え抜くことでした。だから「逆境」といえば、恵まれない境遇のことを思います。逆境を生き抜く技術とは「耐えること」「辛抱してがまんすること」でした。われわれにできることと言えば倹約すること、経費をギリギリ節約し、出費を押えること、そして、今の仕事にとどまって頑張ることが逆境を生き抜く知恵でした。いまはどうでしょう。もっと複雑になっています。贅沢なことはできないまでも生活の心配はほとんどなくなりました。幾たびか続く高度成長と豊かな生活環境で生まれ育った人たちには物質的な困窮ではなく人と人との精神的な困窮です。また、ものは何も無いから有り余るへと変化しています。ありあまる食を目の前にして、食べ残すのは勿体ないときれいに食べるあまり、食過多となってふとり過ぎ、運動不足、成人病と悪循環、ついに倒れてしまうというケースはもう誰でもが知っています。そして、明日は我が身になるやも知れません。二十年三十年昔の食に比べれば倍以上、もっと多くの量とカロリーの摂取しているのではありませんか、お米は配給でしたし、酒にしても昔は飲みたくても、与えられる量が決まっていました。今は与えられる量に制限はありません、自分で制限しないかぎりだれも止めてはくれません。ありあまるというのは、なかった時代に生きた者には思いもよらないことです。しかもこの思いも寄らないことが今では疾風となっています。貧乏と生活苦にあえいでいた人が高度成長とバブルで千金を手にし贅沢三昧をしてついに成人病で倒れたとあっては北からの風には強かったが南からの風には全く手も足も出なかったということになります。現代の逆境について考えねばなりません。恵まれていることが自ら逆境をつくりだすことがあります。ありあまるものを目の前にした人たちにとってはそれが逆境です。欲しいものを次々と手に入るからといって物質欲を満たしていると思わぬ落とし穴に転落することがあります。自己破産について考えてみましよう。私は自己破産ラインを正味負債が年収の五倍から八倍と踏んでいます。二十代で財産(不動産)をもたない人は年収の五倍以上の負債をつくると自己破産へと進まなければならないでしよう。弁済能力がありません。一年に支払う金利が年収を上回ると、働いて得た金全部を返済に当てても元金は返せません。これでは生活ができません、だから自己破産です。こうなると裁判所に願い出て救済を求めることになります。ローン地獄は自分で招いた逆境といえます。サラリーマンにとって転勤に出向、単身赴任という環境の変化を逆境と思えば、逆境です。職場でのストレスも内容が変わってきています。健康を損なうことも逆境です。生活は楽になっても気持ちの上では何ら楽になったとは言えません。このように現代の逆境は多様化しています。一つの失敗が連鎖反応して、次の失敗を招き、為すこと全てが次々と失敗を招きます。この失敗の連鎖を断ち切って、成功へと方向転換することが今もっとも大切なことなのですが残念なことに渦中にある人は「どうすればよいか」分かりません。喫煙がやめられない、アルコールと手を切れない、そうした生活習慣をチェンジできないのは、生活習慣を維持するほうが「心地よい」のです。しかし、それが自分への逆境風であるならば、やはり決断の時が来ています。 今あなたが自分の能力が思うように発揮できず、悶々とした日々を送っているのなら、それも逆境です。その逆境を生き抜くには絶えることでもなく辛抱することでもありません、後ろ向きの退廃的な道を進むことではなく、積極的な建設的な道を選択し決断して一歩踏み出すことです。新しい道へ決断することなのであります


生きる知恵と仕事の技術を高める着眼点
  逆境を生きる
決断する
長所を発見する
自信をつける
恐れを克服する
自分を発見する
選択する
自主性を育てる
人を見抜く
ジレンマを解決する
失敗から学ぶ
衝動を抑える
やる気にさせる
部下を動かす
部下との対話
アドバイスのしかた
逆説を使う
対立、争いを解決する
質問する技術
本心を読み取る
かけひきする
交渉する
頭を下げる
譲歩する
対人関係
価値観
退職理由を聞き出す
真似をする
変革させる
計画する
会議の技術
会議を壊す方法
改革を進める
落とし穴にはまらない
具体化させる
明確にさせる
人事考課
業績を上げる
同じ釜のメシを食う
サービス業の知恵
仕事と遊びを区別する
締切を設ける
志を長持ちさせる
自分を変える
融合する
器量を育てる
地に足をつけて立つ
出向する
独立する
人生を設計する