自己を発見する

自分を発見する糸口となるのは、ベキ論を一時中止して、自分の気持ちを取り戻すことから始めます。「人を知り己を知らば、百戦危うからず」といいます。古来より自分を知ることの大切さが説かれています。現代にあっても自分を知ることの大切さに変わりはありません。しかし、みなそれぞれに自分を知っているつもりです。幼児から成人に到るまですべての人はそれなりに自分を知っているはずです。「あなたは自分を知っているか」と質問すれば、「知らない」と答える人はいません。それにも関わらず自分を知るということはいったいどういうことなのか、こうした疑問、そして自分を知るということはどのようにすればできるのかについて考えます。考えを一巡すれば、ごくあたりまえのことになるかもしれませんがある新任の課長が集まった、人事考課の研修会でまだこれから研修が始まろうとするときにこのような質問をしたことがありました。それは何となく重苦しい雰囲気だったからです。
「この研修に参加されて、今何を感じていますか」すると前にいた課長の一人が「先生、それはどういうことです」「ですから、今。何を感じているか、って聞いているのです」するとその課長さんは「よくわからないなぁ」となをも不満げです。これ以上、私が黙っていると、会場の雰囲気をつぶしてしまうように思えたので、では、「積極的に研修に参加したいと思っている、どちらでもよいと思っている、参加したくないと思っている、その他、思いはさまざまでしょうから、そうした思い、自分の感じていることをちょっと明らかにしてほしいのです」、と説明しました。するとその課長さん、「先生、なんでそんなことを明らかにしなきゃならんのですか、みんな現に参加しているのですよ、研修に参加すべきだということははっきりしていることです、ノーもイエスもないじゃないですか、さっさと研修始めてくださいよ、忙しいのだから」。これでこのケースは終りです。突っ込みのきつい講師なら、「で、あなたはどうですか」と、執拗な(と思える)態度で迫ってくるでしょう。他の人たちは、「つかまった」と思うことでしょう。講師は「研修に参加すべきことは私も承知しています。そんなことを聞いているのではない、自分はどうなのだ」と言いたかったのでしょう。しかし、そのような正解を要求するような質問は趣旨に反するので、なをも「今、何を感じていますか」と再び繰り替えして質問するでしょう。講師とその課長さんはこれで立往生です。講師は、「自分の気持ちをはっきりしろ」と言いたかったのでしょうし、課長さんは、「イヤっ、といったって、どうなるものでもない」と言いたかったのかも知れません。それとも、「講師は私に目をつけてやり込めている」と感じていたかも知れません。そうだったらそのように自分の気持ちを取り戻して言って欲しかったのでしょう。このケースからの教訓としてわれわれは多くの時を1チャンネルと2チャンネル(もっと多くあるかもしれないが)で過ごしているようです。1チャンネルとは幼少の頃からの学習したことが基礎になっています。新らしく課長になれば、課長としてどうあらねばねばならないか、部下にいったりしたりしなければならない(正しいこと、例えば部下をやる気にさせる、部下を育てる)ことや、いったりしたりしてはならない(誤ったこと、部下を傷つける)ことを学び、その通りに行動しなければならないと考えます。

その結果、多くの人は、自分の言うことが適切かどうか(正しいか間違っているか)を前もって決めようとするメカニズムが働き、心の中では、言いたいことを引っ込め、言うべきこというために、あるべきルールと照合して言動を決めようとします。本心はどうだというのではなく、この場ではどういった振る舞いが正しいのか、を考えるのです。もちろん研修に参加してどのようなことに気づいているか?という質問の答えは、「積極的に参加すべき」なのです。「参加したくない」という気持ちを引っ込めて。やりたくない気持ちを押し殺して研修を続けても、自分の心の扉はふさがっていますから情報が入ってきません。苦しい一日が過ぎていきます。幸い研修は一日で終ります。長くても二三日です。辛抱もできようというものですがこれが人生ずっと続けばどうなるでしょう。やりたいこと、望んでいること、欲しいこと、こうした自分の気持ちや感情を遮断し、会社のため、家族のため、他人のために答えを出し続けるのです。2チャンネルは自分の感情、気づきに重きをおいた人生ドラマです。つまりこの場合は「私は研修に参加したくない」「参加したくないが参加すべきだと感じている」「この研修もまた面白くないのではないかと不安を感じている」「ちょっと緊張している」「早く帰りたい」などなどです。そうした自分の感情をベースにした上でどうすればよいかを選択すれば、今まで以上により有能に働くこともできるし、責任の持てる人生を送ることができるようになります。


生きる知恵と仕事の技術を高める着眼点
  逆境を生きる
決断する
長所を発見する
自信をつける
恐れを克服する
自分を発見する
選択する
自主性を育てる
人を見抜く
ジレンマを解決する
失敗から学ぶ
衝動を抑える
やる気にさせる
部下を動かす
部下との対話
アドバイスのしかた
逆説を使う
対立、争いを解決する
質問する技術
本心を読み取る
かけひきする
交渉する
頭を下げる
譲歩する
対人関係
価値観
退職理由を聞き出す
真似をする
変革させる
計画する
会議の技術
会議を壊す方法
改革を進める
落とし穴にはまらない
具体化させる
明確にさせる
人事考課
業績を上げる
同じ釜のメシを食う
サービス業の知恵
仕事と遊びを区別する
締切を設ける
志を長持ちさせる
自分を変える
融合する
器量を育てる
地に足をつけて立つ
出向する
独立する
人生を設計する