交渉能力を高める交渉術入門
Prologue

会社、官公庁、病院、学校、家庭などにあって、これまで以上に人と協力し合う関係を作り上げたいと願う人であれば、だれにとっても役立つ本です。どのようなビジネスも日常生活も結局はどのようなやり方で互いに協力するか、ということになります。健全な交渉が行なわれるならばお互いに満足の行く協力のしかたが発見できます。しかし、人々の行なう交渉はすべてが健全で、成功しているとは言えない面もあります。一方的な屈服、妥協、服従と数限りない苦しい経験も多いのです。過去の苦しい失敗経験を再び繰り返すのではなく、健全な交渉を行なうことによって、人と互いに協力して道を開く、いろいろなやり方を提案しています。ビジネスはさまざまな交渉ごとがあります。営業はその最たるものです。売り込みのための訪問、商品やサービスの説明、価格の交渉、苦情の解決、契約、代金の回収、それぞれがすべて交渉を伴っています。営業だけではなく社内では仕事の分担や手順、連絡、報告、相談のすべてに交渉ごとがついて回わります。また、設計と製造との打ちあわせ、納期の交渉、会議には交渉が不可欠です。このことは会社ばかりでなく官公庁でも言えることですし、病院や学校とおよそ組織のあるところでは意識するしないにかかわらず交渉が行なわれています。もちろん家庭生活においてもあてはまります。よりよい交渉をされますと、人を動かし、あなたの人生を開き、より意欲の出る日々に変わります。交渉についてたくさんの項目にわたって考えるべきこと、なすべきことを私は提案しますが、その通り「やる」ことも「やらない」ことも最終的にはあなたの選択にあります。よい方法はたくさん提案していますが、すべての状況に普遍的によいというものではありません。人間社会のことですから長所は短所に、短所は長所に転ずることがあります。白と出るか、黒となるかを私は保証することはできません
人それぞれに交渉についての考え方の違いがあることです。「交渉」とは読んで字のごとく、「交」は「まじえる」「やりとりする」の意味ですし、「渉」は水と歩く、を合わせ「ミズ」と「アユム」、すなわち「足を一歩ずつ進めて川を渡る」ことを言います。つまり「足を踏み込んでかかわりになる」という意味をもっています。日本の文化や歴史、生活習慣と戦後の欧米から導入された経営手法やものの考え方、そして今日の豊かな生活は世代の人たちのいろいろな生活ぶりや考え方の違いに発展してきています。交渉についても根底にはその違いがあることを忘れることはできません。例えば人と話し合う態度で日本は視線を合わせることは特に目上の人に対して失礼なしぐさであると考えられてきました。欧米では逆に、視線を合わして話し合わないと人に対して失礼な態度であるとされています。いつも、どのような場合も、どのような人に対しても適用できる、唯一正しい交渉技術などはありません。あるのは、いかにしてあなたを相手に理解してもらい、相手を理解するかにかかっています。次なる学習テーマは、貴方の交渉能力を強化する着眼点として、とどめ置き、あなたの人生に役立ててくださるよう期待します。

交渉力強化の着眼点

交渉力があなたの人生を切り開く
交渉とは相手を動かすこと
相手にも交渉の心構えができていること
信義を守り誠実に実行できること
双方に利益になること
交渉の落とし穴
交渉には勇気がいる
初対面で相手を見抜くこと
人を見る目、自分を見る目を養う
正確な事実をつかみ損なうと交渉は失敗する
相手に好かれると交渉はうまくいく。
交渉は欲望と恐怖の両面の攻防です。 
頭を下げる交渉は不利
敵将を討つには先ず馬を射よ
場所と環境で交渉は成功も失敗もする
歩み寄る、譲歩する、妥協点を見つける
簡単な問題、妥協しやすい点から交渉を進める
締め切りを設けて交渉する
話し方で勝負が決まる
脅されることは覚悟の上で交渉する
かけひきも交渉のうち
上司とつきあうコツ
苦情の交渉
罪を憎んで人を憎まず 


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